Linuxの普及しない理由

初心者が考えがちな「Linuxの普及しない理由」 - 狐の王国
http://d.hatena.ne.jp/KoshianX/20080814/1218676570

キーバインドWindowsと違う
Windowsアプリが動かない
インストールが難しい
ドライバが少ない
コマンドラインで操作しないといけない
設定が初心者には難しい

Windows を使えばいいじゃないか?という意見は、理解できますが、後回し。


もっとシンプルだと思うんだ。
(1) 店頭でインストール済みのPCを購入できない。バンドルされてない。
(2) イメージ戦略が悪い


(1) については、人は一度覚えたことと似て非なるものを覚えたがらない、過去の経験や知識にしがみつきたがる、ってのがあると思います。Windows についての知識が十分にあり、Linux についての知識がない場合、差し迫った危機がなければ Windows を使いつづけるもの。自分にとっては、Vista のような OS は十分な危機だと思ったわけで、FedoraUbuntu を使い始めました。これについては、結局、店頭販売の PC にバンドルできるようにするための営業チームが必要だろう、というのが自分の意見。

(2) については、とりわけ Windows が良いというわけではなく。Apple 社の Mac は結果的に良くなった、というもの。デザイナー業界のスタンダードなソフトの大部分が太古の Mac で生まれているため、Mac に対してはある種の宗教のようなイメージがこびりついている。現在、コンピュータ利用者の大部分が、Windows を使用するようになったため、それらのソフトは Windows に移植された。対して、Linux 上には移植されていない。(業界標準のソフトが、という意味。2番手以降のソフトは出揃いつつある) これについては、Adobe 社の動向を見守るしかない。Macromedia 社との合併により、デザイナー業界のスタンダードは Adobe 社に集中しているから。Linux 側の勢力、たとえばIBM、Sun、Canonical あたりが Adobe を買収するか、Linux 側の勢力として取り込むしかない。(イメージが良い分野として音楽周りがあるが、音楽周りのソフトは百花繚乱なので Adobe とは別。)


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後回しした、Windows を使えばいいじゃない論への反論。
・Me 、Vista のようなOSを連発されたとしても、意見は変わりませんか?
・過去の資産(ソフト、動画、音楽、メール、その他のサービス等)が、使用できなくなるとしても?

WindowsMicrosoft 社のソフトウェアであり、Microsoft が利益を得る方向に向けてコントロールされるのは当然。Linux などは、オープンソースの世界。使用者の意見を聞くのはごく当たり前のことであるし、

もし将来的に、過去の資産が使用できなくなる状況に舵を切ったとしても、Linux 自体がオープンソースであるため、エミュレータ的なソフトウェアが開発され、短期間で資産が再度利用できると予想できる。Windows はソースが公開されていないため、プログラムを外部から分析してシミュレータ的にソフトを開発しなければならなくなるため、開発は長期化すると予想できる。


ここで用語説明。
ソース:
 プログラマが書く文章。コンピュータが読めない命令。
プログラム:
 ソースから変換したデータ。コンピュータが読める命令のかたまり。
エミュレータ
 プログラムの内部の動作が把握できる状態での移植。
シミュレータ:
 プログラムを外部から観察して内部の動作を予想して移植。


開発する側、啓蒙する側の根本には、
オープンソースエミュレータ>>>(超えられない壁)>>>クローズソースのシミュレータ
ってのがあるんです。顕著な例としては、Windows 上の Unix エミュレータCygwinLinux 上の Windows シミュレータの Wine 。Cygwin の開発、安定度に比べて、Wine の難航ぶり(開発の長期化、ソフトのサポート状態、不安定など)なんか。


話がそれてきているので、わかりやすくまとめると、
Linux
 柵のない世界。ほかの OS への移植もラク。使用者は他の環境へ逃げやすい。
Windwos:
 柵どころか、周りは絶壁で囲まれている(技術的に、法律的に)。移植は困難。使用者は他の環境に逃げにくい(脱走できない)。
囲い込みの壁が高くならないうちに、Linux に逃げておいたほうがいいんじゃない? ってのが、開発者目線の意見。逃げられない刑務所(になるかも知れない) OS に、今後の将来の資産(動画や写真などの思い出とかも)も溜め込みますか? ってこと。


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長々と書いてみたが、過去に散々 スラッシュドットで議論されたような話になってしまった。(狐の王国のひとの「初心者」を「中級者」に置き換えると、しっくりくるような。(プログラマ目線でものを見ると、OS の入れ替えもできないやつは初心者だよな〜、とは思いますが、OS を再インストールもせずに使っている人でも「自分は中級者」と思っていると思う。))


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OS 論以前に、Micorosoft の存在自体が混乱をもたらしてきた、というのもあります。Web 業界は、Internet Explorer の実装漏れ、バグと、相対するシェアに苦しめられた(現在進行形)。パクリ、名称の変更などによる混乱もある(ディレクトリ→フォルダ、RSS フィード→ Web フィード、Helvetica → Arial 等)。Windowsメーラー Outlook は、メールの仕組みを混乱させるような仕様だ(受信アカウントを複数設定できるが、送信アカウントを1つしか設定できない。送信メールのヘッダを確認できない)。メーラーのさまざまな自動実行機能のおかげで、ウィルスが蔓延してきた過去もある。


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日本語入力については、Windows の 日本語の IME の開発に、日本人が関わっていなく、中国などで開発されているため、年々使いにくくなっているという趣旨の話は、Microsoft が見せたスキのひとつで、Linux 陣営はこれをチャンスだと思わなければならないし、これをうまく生かせれば、ある程度のターニングポイントにはなると思う。
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